「・・・あら?ソノラとヤードはどこ?」
「あ?・・・いや、しらねぇぞ?」
「そう・・・。あの二人さっき出て行ったきりなのよ」
「・・・何だって?」
「もしかしてこれは・・・恋、かしら?」






・・・海の波打ち際に、一艘だけ海賊船が泊まっていた。
その船上に二人男の影があった。
まずこの船の船長、カイル。
金髪の長い髪。がっしりとした体躯。喧嘩では負け知らずで有名である。
それに、もう一人の男、スカーレル。
どことなく女気がある。話し方も女である。でもれっきとした男である。
紫の長髪を赤いかんざしで上に纏め上げ、肩にはフェイクファーが掛けられていた。


「・・・恋?」
「・・・外で何やってるんでしょうねぇ。気になるわ〜ぁ」
「・・・・・もしかして・・・あいつら付き合ってるのか!?」

スカーレルはにっこりと満面の笑みで答えた。

「ソノラももう年頃なんだし、そろそろ・・・とは思ってたけどねぇ。まさかヤードとなんて・・・」
「・・・・・」

何も反応しなくなったカイル。

「・・・あら、アタシの勘よこれ」

そんなことを言うと、なぜか少しほっとした様子でおどけてみせた。

「そ、そうか勘か・・・そうだよなぁ!?あの二人がまさかなぁ、あは、ははは・・・」
「・・・カイル・・・・・ヤードにソノラとられるの嫌なんでしょう?」
「・・・ッ!!んなわけ・・・」
「ある・・・って、顔に書いてあるわよ〜?」

スカーレルに図星を指され、額をこづかれたカイル。
その後、マニキュアが塗られた綺麗な手で、日に焼けた頬を撫でた。

「・・・妹が同じ船員と・・・。・・・腹立つ?」
「・・・いや。ただな・・・」
「・・・なーによぅ?いきなり落ち込んじゃって〜」
「・・・・・少し・・・寂しい気がする」

カイルは苦笑しながら、触れていた手を掴む。
ぎゅっと。
・・・スカーレルは、今までカイルのこういう表情を見たことがなかった。
いつも明るくて、豪快に笑うカイルしか知らなかったのだ。
長い間、一緒に船で航海していたというのに。

「ホントの妹じゃねぇのによ・・・。何で・・・他人事みてぇに感じられねぇんだろうな?」
「・・・カイル」
「もう、自分の妹手放すようなそんな感じだぜ」
「何言ってるのよ。・・・貴方の妹でしょう?当然の感情よ?」
「・・・そう、か?」
「貴方が寂しがらなくてどうするの?可愛い妹のために、ね」

ぱちっとウィンクをしたスカーレル。
カイルはそうだな、とちいさくうなずいた。






「たっだいまぁー!!遅くなってごめんねー!!」
「すみません、食料がほとんどなくなっていたもので」
「・・・・・買出し、か?」
「?そうだよー?」

ソノラが目をぱちくりさせながら言う。


・・・・・話が違うではないか。
スカーレルをすぐさま呼び出す。

「なぁに?」
「さっきの話はどこいったんだ?買出しに行ってただけみたいだぞ?」
「・・・あら、言わなかったっけ?『アタシの勘』・・・って」

にーっこりと笑ってカイルを見上げる。

「・・・・・思いすごしだったみたいねーぇ」
「・・・はー」

カイルはため息をつく。

「何よ?ホントに付き合ってて欲しかった?」
「・・・いや、そうじゃなくて」
「ならいいじゃない?・・・あ、でもあの二人仲いいわよねぇ・・・ホントに発展しちゃうかもよ?」
「それは・・・ッ」
「・・・その顔・・・。可愛いわねぇ」
「んな」

「・・・カイル・・・大好きよ」

唇に、唇が触れた。
柔らかくて温かくて。
・・・それは、一瞬のことだったけど。

「・・・・・ッ!?」

びっくりしてカイルはその場で固まってしまった。

「・・・アタシが兄貴の方奪っちゃおうかしら」

ぼそっとスカーレルが言う。
そんな冗談めいた言葉にも反応してしまう。

「ば、馬鹿いうなよおい」
「・・・それとも」
「?」
「アタシのこと、奪ってみる?」

カイルの首に、腕が回される。
鼻がぶつかりそうな位置にまで顔を近づけられた。
妖艶なまなざしを向けられて、カイルは動けなくなる。

「・・・す、スカーレ」
「これは、冗談じゃないの」
「・・・・っ」
「アタシは本気」


「・・・ふったりっともー♪ご飯出来たよぉー!!」
「・・・お、おぅ!今行く!」
「あっ!逃げるのー?」

ソノラが助け舟(←もちろん意図的にではない)を出してくれたおかげで、スカーレルからなんとか逃れたカイル。
スカーレルは少しだけ、寂しくなっていた。

「・・・はぐらかされちゃったわねぇ・・・」

苦笑しながら、遅い夕食を食べるために自分の席へとついた。






・・・コンコン、とドアをノックする音。

「邪魔するぞ」
「あら、ど〜ぞ」

入室の許可を得て、カイルはスカーレルの部屋へ入った。
スカーレルはベッドに腰掛け、つけていたヘッドフォンをはずした。
どうやら音楽を聴いていたらしい。
・・・カイルはベッドに寄りかかるようにして、床に座る。

「すまねぇな、いきなりでよ」
「いぃえ〜?・・・それにしても珍しいわね、カイルがアタシの部屋に来るなんて」
「・・・・・」

スカーレルが話題を切り出すと、カイルは黙ってしまった。

「・・・・・どうしたの〜?さっきから変よ?・・・もしかしてまだ気にしてるの?ソノラのこと」
「・・・いや・・・そっちじゃない」
「じゃぁ、何?・・・アタシの部屋にきたってことは・・・アタシが関係してるのよね?」
「あぁ・・・」
「・・・あ、分かった。アタシが迫ったことじゃなぁい?」
「・・・・・」

ふっと下を向いて、ほんの少し顔を赤くする。

「・・・さっき、逃げちまっただろう?」
「・・・!」

ぼそっとカイルはつぶやく。
その言葉に、スカーレルははっと驚いた。

「真剣に・・・受けとってくれてたのね」
「ん・・・。寂しそうな顔してんのも・・・分かってた」

すごく、うれしい。
純粋に。
・・・ちゃんと気にしてくれてたなんてね。

「・・・ありがと」
「おぅ」

やさしく微笑んで、カイルの大きな背中をポン、とたたく。
カイルもつられて、照れながらうすく微笑んだ。


「・・・・・」
「・・・・・」

・・・沈黙。


「・・・・・もう、寝ましょう?」

スカーレルが一言。
ベッドから立ち上がって、まだ座っているカイルを見下ろす。

「明日起きられなくなっちゃうわ」
「・・・スカーレル」

ふと、名前を呼ぶ。

「・・・なぁに?」

ベッドにまた腰掛けて、聞く体勢を作る。

「・・・お前は、ホントに俺が好きなのか?」
「・・・あら、さっきのアタシの言葉信じてないの?」
「本気、なんだな?」
「もちろんよ」



―――・・・本気。
俺だって、本気だったさ。

ただ、そんな気持ちを。
外には出せなかっただけで・・・―――



「・・・ッ!!」

スカーレルの体が、ベッドに埋まった。
その細い腕を押さえながら、カイルは上に覆いかぶさった。

「な、に・・・」
「好きだ」
「ッ・・・」
「俺は、お前が好きだ」

スカーレルが目を見開いて、真っ赤に頬を染める。

真剣に自分を見つめるものだから。
心臓が高鳴って仕方がない。

「・・・ッん」

唇をふさがれる。
恥ずかしくて抵抗しようとは思うものの、両腕が押さえられていて動けない。

・・・ただただ、されるがまま、口内を犯されていた。

「ん・・・んぅ・・・ッ」
「・・・っ」

・・・だんだんと体に力が入らなくなってゆく。
目じりに生理的な涙が溜まる。
しばらくして唇を離されたスカーレルは、なぜか震えていた。
カイルは掴んでいた腕を離す。

「・・・怖いのか?それとも・・・嫌なのか」
「・・・ッ違う・・・の」
「でもお前・・・震えて」
「うれ・・・しいの・・・・・」

・・・静かにスカーレルの頬を伝った涙。

「・・・アタシ・・・誰からも愛された事・・・ないから」
「スカーレル・・・」

思いがけない発言で驚くカイル。

スカーレルは目の前にある金髪の頭を抱き寄せる。
カイルよりもずっと狭い胸もとに。

「・・・小さいな、お前」
「そう?・・・ッぁ」
「綺麗な肌してら・・・」
「・・・ゃ」

前を全開にされ、ファーまで剥がされてしまう。
カイルが首筋に痕をつけるたび、びくんと反応するスカーレル。
跳ね上がるたびに、香水の香りが広がる。

唇を噛み締めて喘ぐのを堪える。
ベッドがきし、と音を出す。

「・・・ッぅ」
「そんなに・・・感じるか」
「・・・ふっ・・・ゃ」
「唇切れんぞ?・・・声出していいからよ」
「・・・ッぃゃ・・・」

意地でも喘ごうとしないスカーレル。
ふるふると首を横に振っている。

「・・・苦しいだろうが・・・。・・・ほら」
「っぁん・・・ッ!」

大きくびくんと跳ね上がって反応する。
いつの間にかカイルの手は、スカーレルのズボンの前から中へ進入していたのだ。
じかに触れられて、熱いモノで思わず手を濡らしてしまう。

・・・気持ちよすぎて、声なんてひっきりなしに零れて。

手の甲を口に当てて、声を無理矢理抑えようとするも無念。
カイルにどけられて押さえられる。

「あッ、は、・・・ゃめて・・・ぇ」
「・・・やめて欲しいのか?」

突然動きを止めるカイルの手。

「・・・っぅ・・・や」
「どう、して・・・ほしい?」
「・・・やだ・・・そんな事、聞かないでよっ・・・イジワル・・・ッ」

そんなことを半分泣きながら言うと、カイルは笑って返した。

「っはは、それだけ言えりゃまだ余裕だな。・・・脚、広げるぞ」
「っえ、やめ・・・ッイヤ・・・っ」

・・・・・恥ず、かしい。
もうカラダが火照っていて熱い。
・・・なのに。それなのに。
まだ、自分に与えられる快感を。
求めていて。

「・・・指・・・入れるな?」
「っゃぁ・・・あぁぁ・・・っ」

声が抑えられない。

指が中で動くたび。

喘ぐ声が口をついて出てくる。

「あ・・・やだ、カイル・・・ッ」
「痛いか?」
「・・・ん・・・ん」

・・・痛くはない。
首を横に振って、否定する。
・・・すると、何本かの入っていた指が、ずるっと引き抜かれた。

「・・・っあ」

つい物欲しげに声を上げてしまった。

「挿れんぞ・・・痛かったら言えよ?」
「・・・・・ッひ、あ・・・あぁ・・・ッ!!!」

大きいモノが、カラダを貫く。
カイルが少し顔を歪める。
スカーレルはシーツをぎゅっと握り締めた。

「あんまり締め付けないでくれな・・・結構キツイぞ」
「・・・っ・・・カイル・・・アタシ・・・ッあ」
「アタシもキツイ、・・・ってか?」
「・・・んっ・・・当たり・・・まえ、で・・・しょ・・・」
「・・・ワリィ・・・な」

苦笑しながらカイルは言った。
そしてさらに激しく、腰を揺さぶる。

・・・だんだんと快楽に呑まれていく感覚。

大好きな人に、与えられる快感。

死にそうなぐらいに恥ずかしいけど。
大好きな人だから、許せる。

「・・・あ、っあん・・・もう・・・ダメ・・・っぇ」
「俺もっ・・・もうそろそろ、だな。・・・スカーレル・・・イくぞ」
「ゃ・・・あぁぁッッ!!!」

先端から白いミルクを吐き出す。
カイルとスカーレルは、ほぼ同時に頂点に達した。

「・・・ぁ・・・カイ・・・ル」

スカーレルの腕が宙を掻く。
カイルを求めて、さまよう。

「俺はここにいるよ・・・。安心して・・・寝な、スカーレル」

はしっと、自分を求めていた腕を掴む。
汗ばんだ額にキスを落とす。

「・・・大、好き・・・よ」
「あぁ」

・・・満足げに微笑みながら、ふっと意識を失くすスカーレル。
眠ってしまったらしい。

カイルも一眠りするか、とスカーレルの隣に横になった。

「・・・好きだからな・・・ずっとよ」

そう言って、スカーレルを抱き寄せる。
向き合うように。
大きな体で包み込むようにして抱く。


―――・・・もう、寂しがらないように。
そんな顔を、しないように。

・・・俺が。

ずっと傍にいるから・・・な?

fin.