驚いた、などという言葉では到底表しきれない。

早く言うならば。












「非ィ現実的だ!!」

























…朝6時、起床時間。
ベッドからなかなか起き上がれない俺にとって朝は嫌いなもののひとつだ。
それというのも自分が社長という立場であるが故、
深夜まで食い込む作業を毎日山のようにこなしているからであって。


「…瀬人様、朝でございます。ご起床を」

「…あぁ…」


磯野が毎朝俺を起こしにくるが、正直素直に起きたくはなかった。
昨日も、細かく言えば今日の深夜3時ごろまでパソコンに向かって仕事をしていたのだから。







…眠気にやられている頭と体を無理やり起こし、壁にもたれたときに。


それは起こった。














「兄サマぁぁ!!」

「?」










廊下から聞こえた、いつも俺をそう呼ぶ弟の叫び。
しかし今日は何かが違っていた。


声が、低い。







「…モクバ?」







いや、こんな声ではなかったはず。
まだ声変わりなどしていないはずだったが。






「兄サマ!どうしようオレ!オレ!!」

「…!!」






ドアがばたん、と強く開かれた。
その向こうには、俺の知らない、いや、知っているが…知らない。


たくましく成長した、モクバがいた。
















「……モ、モクバ…様」

「…っ磯野…しばらくここを離れてくれ。俺が呼ぶまで絶対に誰も入れるな」

「は、はい!」



焦る磯野にそう告げ、早々に出て行かせた。
そんなことはどうでもいい。
そんなことより目の前の現実を見ろ。

…。
落ち着け、俺よ。
明らかにおかしい、明らかに非ィ現実的な光景が俺の目の前で起こっているなど到底ありえん。

…寝なさ過ぎなのだ、最近。
本当に寝ていないからな、3、4時間ほどしか…きっと果てしなく疲れているのだろう。

今日はもう仕事は休もう。
ゆっくり寝るとしよう。
いや、もしかしたらこれも夢なのかもしれんな。
夢であるなら…納得もできよう。




「…モクバ、今は何時だ」

「…?今6時10分だけど」


ずいぶん現実味のある夢だな。


「…こっちにこい」

「…うん?」




近くでまじまじと見ても、確かに弟であって。
大きくなったモクバの手に触れて温かいことに、軽く絶望を覚えた。








――夢ではない。










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