大きなごつごつした手で
私の頬を包んだのは、


私のせいで傷ついた
大事な、親友。











「エルフ!」



デュエルが終わり、やっと貴方の元に行くことが出来て。

気が動転するほど、焦っていた。


何より貴方の無事な姿を

一刻も早く
確かめたくて




「…そんなに慌てるな。転ぶぞ?」

「ですが、ッげほ」

「私は大丈夫だ。だから心配するな、マジシャン」



普段あまり走らないのに突然走ったせいか、息苦しさに咳込んでしまった。
そんな私を見て、いつものように真顔でマイペースに大丈夫だというエルフ。

しかし体には明らかに、黒魔術の焼け跡が残っていた。




「…痛かった、ですよね」

「…痛かったな」

「…っすみませ」

「謝るな。お前が悪いわけではなかろう。操るほうが悪い、そんなもの」



怒っているでも蔑むでもなく、ただ堅実に私を慰める。
しかし甘えてしまえば、謝った意味が無くなってしまう。


傷が痛々しい。
白魔術など覚えていない私が助けられるわけはないのになぜか、


傷に手を延ばした。





「…ッ」

「すみません、でした」




顔をみる勇気がなくて。


心は私のものなのに


いとも簡単に
操られてしまった自分に
腹がたって












「泣くな、マジシャン」




つ、と頬に温かいものが触れて、一瞬自分が泣いてしまったかと勘違いした。
しかし違っていたようだ。


剣を持ち慣れた、私とは違う…ごつごつした大きな手が頬を包んでいた。









「しっかりしろ」

「ッつ!」









何をされるかと思えば、思いきり額に頭突きを喰らった。
頭蓋骨はこんなにも固かったかと思うくらいの勢いで。


頭を抑えて痛がる私を見て、貴方は少しだけ。









「余計な心配はいらん」


と、笑った。











「…あぁ、そうだ」

「はい?」



…その後いろいろと積もる話をしあって、ひとくぎり終えたところ。

エルフが一声上げた。



「どうしました?」

「受け取っておけ。お前がまた今日のようになったとき…
私はそれでも、お前の親友だということを忘れるな」





と。

ひとつ、額に。

ひとつ、頬に。


音も立てずに、
キスを落とした。







「…あ」

「…信頼と、友の証」







言うなりふいと目線を外して。

相変わらずの真顔で、そんなことを平然とやってのける。

触れるだけのキスの意味まで教えてくれて。



真面目なくせに、どこか不思議な私の親友。









「…エルフ」

「?」

「…私にはさせてくれないのですか?」





驚く暇もつかせず、私はこっちを向いた貴方に。
同じように、
キスを落として。











がつ、と肩を組まれ。

目くばせしあえば、

思わず笑顔になるもので







大事な、私の親友。

ずっとこのまま
笑い会える仲で。





Fin.